目次
睡眠障害とは
睡眠障害とは、睡眠に関連する様々な病気の総称です。睡眠障害には大きく分けると、「不眠症」「過眠症」「睡眠時随伴症」の3つがあります。睡眠は人間が健康に生きるために必要なものの一つです。睡眠障害によって睡眠の質や量が低下すると、日常生活に支障をきたす恐れもあります。
最も多い睡眠障害は不眠症
最も多い睡眠障害は不眠症です。不眠症とは、睡眠時間が何らかの原因によって意図せず削られることで、仕事や勉強などの日常に影響を及ぼしている状態のこと。不眠症は症状への悩みを自覚しています。
睡眠障害の種類
睡眠障害の原因には大きく分けて「不眠症」「過眠症」「睡眠時随伴症」の3つが考えられます。
睡眠障害の種類1. 不眠症
不眠症(ふみんしょう)とは、何らかの原因によって十分な睡眠が取れず、日中の生活に支障をきたす状態を指します。寝つきが悪かったり、夜中に何度も寝付けなかったりする場合は、不眠症であると考えられます。
睡眠障害の種類2. 過眠症
過眠症(かみんしょう)とは、日中に過度の眠気を感じ、通常の活動が妨げられる状態を指します。夜間に十分な睡眠をとっているにもかかわらず居眠りをしてしまったり、慢性的な睡眠不足がない状況でも強い眠気が続き日常生活に支障をきたしたりする場合は注意が必要です。睡眠障害である過眠症が重症化すると、運転免許の取得ができないなどの社会的弊害も生じます。
睡眠障害の種類3. 睡眠時随伴症
睡眠時随伴症(すいみんじずいはんしょう)とは、睡眠中、入眠時、または覚醒時に起こる異常行動や体験をする状態のことです。睡眠中に突然叫び声を上げたり、泣き出したりする場合や、寝床を出て歩き回る、夢の内容に沿った異常行動を取るなどの症状が考えられます。
20歳未満の方へ睡眠障害の原因
睡眠障害の原因には大きく分けて「心理的要因」「身体的要因」「環境要因」「精神疾患の影響」の3つが考えられます。
原因1. 心理的要因
仕事や私生活における不安感・プレッシャーや引越し・転職などの環境変化から、音・気温・日光の当たり方などの自然環境による影響など、様々な環境要因によって引き起こされるストレスを受けることで、睡眠障害が発症する原因になることが懸念されます。さらに、睡眠障害は、ある一つの重大なストレスによるものではなく複数が組み合わさることで発症することも。
こうして、周囲を取り巻く軽いストレスも、睡眠障害を発症する主な要因となり得るのです。
原因2. 身体的要因
睡眠障害は身体的要因によっても引き起こす原因となります。例えば、花粉症や喘息、蕁麻疹などのアレルギー症状、リウマチや骨折などの外傷も睡眠障害の原因になります。こうして、身体的な要因によって引き起こされる睡眠障害は、その症状に対するアプローチで改善されることがあります。
原因3. 環境要因
睡眠障害は環境要因によっても引き起こす原因となります。例えば、薬の副作用やアルコール・カフェインの接種などによる薬理学的影響もあれば、時差ボケや夜勤などによる生活習慣の影響などによって体内時計が崩れてしまうと、睡眠障害の原因となります。
原因4. 精神疾患の影響
精神疾患の症状として、睡眠障害が引き起こされている場合もあります。例えば、うつ病や不安障害などの精神疾患は、睡眠障害である不眠症状を伴う病気です。とくに慢性的な不眠症状がある場合や、落ち込み、憂鬱な気分が続く場合は、睡眠障害の裏に精神疾患が潜んでいる場合もあるため注意が必要です。
原因5. 更年期
睡眠障害は女性に多く見られますが、特に更年期の女性は発症率が増加します。女性はホルモンバランスの変動を経験しやすく、生理周期や妊娠、出産、更年期などのライフステージにおいてホルモンの変動が顕著です。これによって、睡眠パターンや睡眠の質が影響を受けることが多いです。更年期にはエストロゲンやプロゲステロンの減少が、睡眠の質の低下を引き起こす主な要因となります。
睡眠障害の症状
睡眠障害の主な症状は、「入眠障害」「中途覚醒」「早期覚醒」「熟眠感欠如」の4つに分けられます。次に詳細に説明します。
入眠障害|30分経っても寝付けない
睡眠障害の症状として入眠障害があります。スマホを触っているわけでもなく、30分以上経っても寝付けないなど、異常に寝つきが悪い場合は不眠症の可能性があります。
中途覚醒|途中で目覚めて眠れない
中途覚醒の症状では、尿意や寝苦しさなどによって途中で目覚めて、なかなか寝付けなくなります。こうして、睡眠障害では一回目覚めると眠れなくなることで、睡眠の量が削られてしまうのです。
早期覚醒|2時間程度予定より早く目覚める
睡眠障害の早期覚醒では、予定よりも早々に目覚めてしまい、それからなかなか寝付けなくなります。寝る時間によらず目覚めてしまうことで、睡眠の質や量が下がってしまいます。
熟眠感欠如|寝てるのに眠い
しっかり時間をとって寝ているのに、ぐっすりと眠った感覚がしなかったり、疲労感・倦怠感を感じたりする場合は、睡眠障害の症状である熟眠感欠如かもしれません。睡眠時間をしっかり取ってもスッキリしない場合は、早く寝るなどの自己対策でも解決が難しいと言えるでしょう。
20歳未満の方へ睡眠障害の治療法
睡眠障害の治療では、原因や症状によって適切な方針を組む必要があります。
大阪こころの診療所 梅田院では、「副作用のない安全な治療がしたい……。」などの患者様のご希望に合わせた治療法がご提案できるよう、様々な睡眠障害の治療法を取り入れております。次に、睡眠障害の治療法について詳細に説明します。
はじめに、生活習慣の改善が一番大切です
睡眠障害を治すためには、根本的な原因を解決するために生活習慣の改善をします。規則正しい生活リズムや、就寝前のリラックス時間の確保、カフェインやアルコールの摂取を控えることがポイントです。
治療法1. 薬物治療
睡眠障害の薬物治療では、睡眠薬や抗不安薬、抗うつ薬が用いられることがあります。睡眠障害の治療薬には、以下のようなものが挙げられます。
ベンゾジアゼピン系
効果 | 脳の興奮を抑えるGABA(ガンマアミノ酪酸)という神経伝達物質の働きを促し、睡眠を促進。 |
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具体例 | ドラール、サイレースなど |
非ベンゾジアゼピン系
効果 | ベンゾジアゼピンと同様にGABAの働きを強化。依存性が少ないのが特徴。 |
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具体例 | マイスリー、アモバン、ルネスタなど |
抗うつ薬
効果 | 睡眠を改善する効果があり、特に不安やうつを伴う不眠症に有効。 |
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具体例 | レスリン、セロクエル、レメロン(ミルタザピン)など |
抗精神病薬
効果 | 深い睡眠の促進効果があり、精神疾患を伴う不眠症の治療に用いられる。 |
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具体例 | ジプレキサ(オランザピン)など |
睡眠導入剤
効果 | 即効性があるため、急性の不眠症状に対して効果的 |
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具体例 | ルネスタ、ロゼレムなど |
睡眠障害で現れる症状は個人差があるからこそ、心療内科・精神科の専門医の指導のもと症状や状態を見極めて適切に治療薬を処方される必要があるのです。治療計画を考える際には、薬物治療とその他の治療法を併せて利用することで、睡眠障害の症状改善における相乗効果が期待できます。
治療法2. 精神療法
大阪こころの診療所 梅田院における睡眠障害の精神療法は、公認心理師や臨床心理士などの心のプロフェッショナルによるカウンセリングを通して行われます。次に詳細に説明します。
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
睡眠障害治療としての認知行動療法は、睡眠に関する間違った信念や行動を修正し、睡眠の質を向上させ、睡眠障害につながる考え方の癖を改善する治療法です。
睡眠障害に悩んでいる人は、否定的な思考や行動傾向を持っている人もいます。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変化させることによって、不眠症状の原因となる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、睡眠障害の再発を防ぐのに効果的です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望の方は、来院した際にスタッフへお声がけください。
治療法3. 【自由診療】TMS治療(磁気刺激治療)
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療は、アメリカやヨーロッパ諸国では代表的なうつ病治療手段の一つで、近年では様々な精神疾患の症状改善が期待できるとして注目を集めています。TMS治療では、磁気刺激を使って脳の神経回路を刺激することで、不眠症上の改善を目指します。TMS治療では頭皮を通じて磁気パルスを発生させる装置を使用することで、脳の特定の領域に刺激を与え、脳の神経活動を正常化させます。うつ症状に作用する神経伝達物質の生成を整えることで、症状の緩和を目指します。
TMS治療では、週に数回程度の施術を実施し、数週間から数か月にわたって継続していきます。治療は一回あたり約15分〜30分で終了するため、通院による治療も手軽に行いやすいのがメリットだと言えるでしょう。
さらに、TMS治療は、薬物治療で効果が出なかったり、薬物療法を避けたい/減らしたいと考えたりする方に合っていると言えます。うつ病や他の精神疾患の治療において、TMSは代替的な手段として検討の対象となることがあります。TMS治療は専門医の指導を受けて実施されるべきであり、効果や安全性は個人によって異なることがあります。治療の適応や詳細については、医師や専門家との相談が大事です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施するTMS治療は自由診療です。自由診療のメリットは気軽に日帰りで治療を受けられること。保険診療のTMS治療を受けたい場合は厳しい審査基準(十分な薬物治療で効果がなかった、長期間で自殺念慮がある、6週間以内に30回の治療ができる、大学病院などの大きな医療機関に通えるなど)をクリアした上で、約2ヶ月〜3ヶ月間の入院治療を行います。すなわち、自殺願望が引き起こされるほどに重症化したうつ病患者しか、TMS治療は保険適用されないのです。
「睡眠障害が重症化する前に早く治したい」「仕事に早く復帰して安心したい」とお考えの方は、自由診療でのTMS治療をおすすめします。
睡眠障害セルフチェック
- ベッドに入ってからの寝つきが悪い
- 夜中に何度も目覚める
- 一度目覚めるとなかなか寝付けない
- 日中に強い眠気を感じる
- しっかり寝てるはずなのに疲れが取れない
- 眠気で集中が続かない
- 予定よりも数時間は早く目覚めてしまう
- 朝にスッキリ感がない
これらの症状が2つ以上該当する場合、2週間以上毎日のように続いていたり、日常生活に支障があったりする場合には、睡眠障害の可能性があります。睡眠障害かもしれないと感じた場合には、早期発見・治療のためにも迅速に医療機関へ相談することをおすすめします。
睡眠障害の症状を伴う精神疾患のサポート支援
大阪こころの診療所 梅田院では、睡眠障害の症状を伴う精神疾患のサポート支援として社会復帰の先駆けとして有効なリワークへの紹介状や、行政のサポートを受けるために有効な診断書を発行しています。このような、精神病に対するサポート支援についての詳細をご紹介します。
サポート1. 職場復帰・就労支援
うつ病などの精神疾患治療の終わりがけでも、病気発症時のトラウマから復職ができなかったり、就職活動が困難であったりする患者様は多くいらっしゃいます。そのような「職場復帰を目指したい方」を対象として、リワークや就労支援施設などへのご紹介も可能です。無理せず少しずつでも社会に戻る努力をしたいあなたに合わせた施設を見つけられるようにサポートします。
サポート2. 休職や復職に必要な診断書を最短で即日発行!すぐにもらえるから安心
大阪こころの診療所 梅田院では、「もう耐えられなくて、今すぐにでも休職したい……。」「睡眠障害を治して早く復職がしたい……。」と考える出来る限り多くの患者様を助けたいとの想いから、休職・復職に必要な診断書を最短で即日発行ですぐにもらえるように努めております。精神科・心療内科には、当日や翌日などの予約を受け付けていなかったり、初診を受け入れていなかったりするクリニックが多数見受けられます。
今すぐに助けが必要にも関わらず、病院に受け入れてもらえない患者様を出来るだけ減らせるように、当院の医師の診察では、迅速で適切な診断を心がけております。
患者様のこころの拠り所となるような治療を実施するべく、心の専門家である公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを実施しております。詳しくは、ご来院した際にお尋ねください。
サポート3. 休業・傷病手当や精神障害者保健福祉手帳などの申請もサポート
睡眠障害の症状を伴う精神疾患で休職する場合には、生活費について悩む方がたくさんいます。そのような状況で有効な行政の制度として、休業手当や傷病手当、精神障害者福祉手帳を発行することで受けられる支援などが考えられます。休業手当とは、会社の都合で労働者が休業する場合(使用者の責に帰すべき事由)に平均賃金の60%以上が支給される制度のこと。一方、傷病手当とは、業務外の病気やケガで療養中に労働ができず、給与が支給されない場合に休業4日目から標準報酬日額の3分の2が最大1年6ヶ月まで支払われる制度のことです。働けない状況でも生活費に困らないように利用可能な制度だと言えます。
さらに、睡眠障害の症状を伴う精神疾患によって社会生活を健康に送れない状態となった場合は、精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)が発行できるケースがあります。精神障害者が自立した生活を送るための支援を受けやすくすることを目的として発行されるもので、公共料金などの「経済的支援」や生活保護や就労支援を受けられる「福祉サービス」、医療費の自己負担額を減らせる「医療費の助成」といった支援を受けられるメリットも。
このような睡眠障害の症状を伴う精神疾患に対する支援制度の申請をするには、病院の診断や通院が必須です。必要書類などはご自身でご用意いただき、精神科・心療内科で対応可能な診断書の発行などを早急にお手伝いします。申請について、詳しくは各自治体にお尋ねください。
睡眠障害にでよくある質問
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睡眠障害でもっとも多くの人が悩んでいる症状は何ですか?
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睡眠障害で最も多くの人が悩んでいる症状は、不眠症状と過眠症状(日中の強い眠気)です。不眠症状には入眠障害、中途覚醒、早朝覚醒があり、これらの発症率は患者の年齢次第で大きく異なります。
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睡眠障害を見分けるポイントはありますか?
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睡眠障害を見分けるポイントは、眠りの質の変化と日中の眠気や心身の違和感です。「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」「朝起きられない」「寝ても疲れが取れない」といった症状に加え、日中に耐えられない眠気がある場合は、睡眠障害の可能性が高いです。しかし、睡眠障害かどうかの判断は、専門知識が必要です。
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ストレスによる睡眠障害はうつ病に繋がる可能性がありますか?
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ストレスによる睡眠障害は、うつ病につながるリスクがあります。仕事や人間関係などの生活環境からくるストレスが原因で、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったりする症状がある場合は、専門クリニックの受診をおすすめします。うつ病について詳しく知りたい方は、うつ病の詳細ページをご覧ください。