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統合失調症とは
統合失調症は思考や気持ちが上手くまとまらなくなる、幻覚・妄想で現実との区別が付かなくなるといった症状が特徴の精神疾患です。100人に1人は統合失調症を生涯で発症するという研究による結果も。日本における統合失調症患者数は約80万人いると言われています。
こうして、統合失調症は決して稀な病気ではなく、いつ・誰が発症しても不思議のない病気なのです。
統合失調症は脳機能の異常によって発症する精神疾患
統合失調症は、何らかの原因によって脳機能が低下しつつ、思考に関連するような神経伝達物質が不足することで発症すると考えられています。脳機能を低下させる明確な原因や仕組みは分かっていませんが、様々な要因によるストレスや過度な緊張がきっかけとなり、統合失調症は発病するのではないかと考えられています。
統合失調症とうつ病の違い
統合失調症とうつ病は、似たような症状があることから間違われやすい疾患です。大きな違いは症状にあります。統合失調症は、思考がうまくまとまらなくなったり、意欲がなくなったりするのに対し、うつ病は抑うつ症状などの精神症状と、食欲減衰や不眠症上などの身体症状が主に現れます。
こうして、統合失調症とうつ病では違う症状が引き起こされるため、治療法にも違いが出てきます。効果的な治療を行うためには、心療内科などの専門医のもと、正しい治療方針を決める必要があるのです。
統合失調症の原因
統合失調症は脳の働きや、それらに関連する神経伝達物質の不足によって発症すると言われています。このような、発症につながる原因について詳細に説明します。
原因1. 環境要因によるストレス
仕事や私生活における不安感・プレッシャーや引越し・転職などの環境変化から、音・気温・日光の当たり方などの自然環境による影響など、様々な環境要因によって引き起こされるストレスによって統合失調症が発症する原因になることが懸念されます。さらに、統合失調症は、ある一つの重大なストレスによるものではなく複数が組み合わさることで、発症する原因となることも。
こうして、周囲を取り巻く軽いストレスも、統合失調症を発症する主な要因となり得るのです。
原因2. 遺伝的要因
統合失調症は遺伝的な要因が大きいのではないかと示唆されています。新潟大学脳研究所によると、統合失調症の親から生まれた子供の疾患発症率は、通常の10倍程度上昇するとの結果も。しかし、そのような遺伝子を持つ家計でも多様な精神病が混在する場合もあれば、正常な家系もあるなど、疾患リスクへの遺伝による貢献度は明確にされているものではありません。
こうして、統合失調症の原因に遺伝が関与していると考えられる意見もありますが、まだまだ仮説段階であるのは確かでしょう。
統合失調症の症状
統合失調症の症状は、「陽性症状」「陰性症状」「認知機能障害」の3つに分けられます。初期症状や末期症状と呼ばれるものはなく、人によって症状が出る時期は異なります。
陽性症状|妄想、幻覚、考えがまとまらないなど
統合失調症の陽性症状と言われるものには、妄想や幻覚、考えがまとまらないなどの思考障害が考えられます。例えば、「ずっと監視されている気がする」「頭の中で命令する声が聞こえる」「会話の脈絡が理解できない」など、何もないのに思考が何かに支配されているような感覚になります。
重症化するほど現実との区別がつかなくなり、人とのコミュニケーションも困難になっていきます。
陰性症状|感情の起伏がない、語彙力の低下、意欲低下、引きこもりがちなど
統合失調症の陰性症状には、感情の起伏がなくなる感情鈍麻や、会話中に抽象的な言い回しが使えない/理解できないなどの語彙力や想像力の低下、人とのコミュニケーションを避け始めて引きこもりがちになるなどのものがあります。以前よりも内向的になったなどの症状がある場合は、統合失調症の陰性症状かもしれません。
認知機能障害|集中力・注意力の欠如、記憶力の低下、判断力の低下など
統合失調症の認知機能障害には、集中力・注意力の欠如や記憶力の低下、判断力の低下などが症状として考えられます。「前はできていたことができない」「仕事を覚えるのに時間が前よりかかる」「優先順位をつけて仕事ができない」など、マルチタスクが困難になったり、新しい仕事や慣れた仕事にも容量が悪くなったりします。
統合失調症になりやすい人の特徴
統合失調症になりやすい人の特徴について説明します。
なりやすい人の特徴1. 過度なストレス環境にいる人
統合失調症は、仕事や学校、私生活などによって過度なストレス環境に身を置く人にとってなりやすい病気だと言えます。例えば仕事の場合、「転職してみたが同僚との馬が合わない……。」「部署移動によって過度に期待されている……。」「タスクの期限に対するプレッシャーが強い」など、環境の変化によって強いストレスを無意識に感じている場合もあります。
さらに、家族からの強い批判を受け、常に緊張状態で生活しているなどの場合、心が休まる時間もなく、統合失調症を発症する原因となるでしょう。
なりやすい人の特徴2. 不安定な生活習慣をしている人
夜型の人や夜勤の多い人、子どもの頃から夜更かしが多い人などの不安定な生活習慣をしている人は、体内リズムが乱れやすく、統合失調症になりやすい人だと言えます。できる限り、身体のリズムを整えるような生活習慣を心がけることで、統合失調症を予防できることがあります。
なりやすい人の特徴3. ストレスへの対処がうまくできない性質の人
生まれながらの性質として、ストレスに弱い人もいます。例えば、頼み事を断れない、他人の目を気にしすぎる、感情のコントロールが苦手など、ストレスへの対処がうまくできない人は、統合失調症になりやすい人だと言えます。とくに、依存心が強い場合や、他人との信頼関係をうまく構築できないと感じている人は注意が必要です。
なりやすい人の特徴4. 家族が統合失調症の人
家族が統合失調症の場合、遺伝的になりやすい人であることがあります。しかし、先述の通り遺伝子による発症率の関与は、未だ研究段階に留まります。
統合失調症の治療法
統合失調症の症状が軽いうちは、ストレス源を特定して距離を置くことで改善されます。一方、重症化してしまった場合には薬物療法やカウンセリングなど、症状や状態に合わせた治療計画を練ることが大切です。
大阪こころの診療所 梅田院では、「副作用のない安全な治療がしたい……。」などの患者様のご希望に合わせた治療法がご提案できるよう、様々な統合失調症の治療法を取り入れております。次に、統合失調症の治療法について詳細に説明します。
はじめに、十分な休養が一番大切です
統合失調症を治すためには、前提として十分な休養がとても大切です。統合失調症の発症の元となったストレス源から距離を置き、しっかりと休養を取ることで、心と身体をリフレッシュさせながらストレス耐性を高めることができます。ストレス耐性を改善できれば、統合失調症の症状を改善しながら再発防止も期待できるのです。
治療法1. 薬物治療
統合失調症の薬物治療では、うつ症状や不眠症状の改善を目的として行われます。治療薬には強い副作用のあるものも存在し、症状や状態に合わせた処方が大切です。統合失調症の治療薬には、以下のようなものが挙げられます。
定型抗精神病薬
効果 | 陽性症状(幻覚や妄想など)を抑える効果。しかし、副作用として錐体外路症状(筋肉のこわばりや震えなど)を引き起こす恐れがある。 |
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具体例 | クロルプロマジン、ハロペリドールなど |
非定型抗精神病薬
効果 | 陽性症状と陰性症状(感情の平板化や社会的引きこもりなど)の両方への効果。副作用が少ないため、最近ではこれらの薬が主流となっている。 |
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具体例 | オランザピン、リスペリドンなど |
統合失調症で現れる症状は個人差があるからこそ、心療内科・精神科の専門医の指導のもと症状や状態を見極めて適切に治療薬を処方される必要があるのです。治療計画を考える際には、薬物治療とその他の治療法を併せて利用することで、統合失調症の症状改善における相乗効果が期待できます。
治療法2. 精神療法
大阪こころの診療所 梅田院における統合失調症の精神療法は、公認心理師や臨床心理士などの心のプロフェッショナルによるカウンセリングを通して行われます。次に詳細に説明します。
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
統合失調症治療としての認知行動療法は、人々の思考や行動が感情や心理的な問題にどのように関連しているかを把握し、統合失調症につながる考え方の癖を改善する治療法です。
統合失調症に悩んでいる人は、否定的な思考や行動傾向を持ちがちです。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変化させることによって、抑うつ症状の原因となる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、統合失調症の再発を防ぐのに効果的です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望の方は、来院した際にスタッフへお声がけください。
治療法3. 【自由診療】TMS治療(磁気刺激治療)
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療は、アメリカやヨーロッパ諸国では代表的なうつ病治療手段の一つで、近年では様々な精神疾患の症状改善が期待できるとして注目を集めています。TMS治療では、磁気刺激を使って脳の神経回路を刺激することで、うつ症状の改善を目指します。TMS治療では頭皮を通じて磁気パルスを発生させる装置を使用することで、脳の特定の領域に刺激を与え、脳の神経活動を正常化させます。うつ症状に作用する神経伝達物質の生成を整えることで、症状の緩和を目指します。
TMS治療では、週に数回程度の施術を実施し、数週間から数か月にわたって継続していきます。治療は一回あたり約15分〜30分で終了するため、通院による治療も手軽に行いやすいのがメリットだと言えるでしょう。さらに、TMS治療は、薬物治療で効果が出なかったり、薬物療法の副作用を避けたいと考えたりする方に合っていると言えます。うつ病や他の精神疾患の治療において、TMSは代替的な手段として検討の対象となることがあります。TMS治療は専門医の指導を受けて実施されるべきであり、効果や安全性は個人によって異なることがあります。治療の適応や詳細については、医師や専門家との相談が大事です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施するTMS治療は自由診療です。自由診療のメリットは気軽に日帰りで治療を受けられること。保険診療のTMS治療を受けたい場合は厳しい審査基準(十分な薬物治療で効果がなかった、長期間で自殺念慮がある、6週間以内に30回の治療ができる、大学病院などの大きな医療機関に通えるなど)をクリアした上で、約2ヶ月〜3ヶ月間の入院治療を行います。すなわち、自殺願望が引き起こされるほどに重症化したうつ病患者しか、TMS治療は保険適用されないのです。
「うつ症状が重症化する前に早く治したい」「仕事に早く復帰して安心したい」「家で生活しながら統合失調症を治したい」とお考えの方は、自由診療でのTMS治療をおすすめします。
統合失調症セルフチェック
- 誰もいないのに、他人から批判される声や噂話を感じる
- 自分の思考が人に読まれているのではないかと不安になる
- 他人から思考を操られている
- 常に監視されている気がする
- 世界が壊れてしまうのではと強い不安がある
- 自分の身体が溶け出したり壊れ出したりするのではと感じる
- 抑うつ感がある
- 笑顔が減ったと言われた
これらの症状が2つ以上該当する場合、2週間以上毎日のように続いていたり、日常生活に支障があったりする場合には、統合失調症の可能性があります。統合失調症かもしれないと感じた場合には、早期発見・治療のためにも迅速に医療機関へ相談することをおすすめします。
病院で統合失調症の診断を受けるメリット
医療機関で統合失調症の診断を受けた場合、適切な治療計画を練ることで早期改善が期待できると共に、健康状態に合わせた行政や地方自治体などの公的機関によるサポートを受けられることがあります。例えば、病院へ行かず自己判断で仕事を休み始めてしまった場合、休業手当や病床手当を申請しても診断を受けた日からしか支給されず、休んだ日数分の満額を受け取ることはできません。
さらに、統合失調症の診断書を用いて精神障害者保健福祉手帳を発行すると、就労支援や医療費控除を受けられます。
このように病院で統合失調症の診断を受けることで、様々な行政的サポートを受けられるようになります。
統合失調症のサポート支援
大阪こころの診療所 梅田院では、統合失調症のサポート支援として社会復帰の先駆けとして有効なリワークへの紹介状や、行政のサポートを受けるために有効な診断書を発行しています。このような、統合失調症に対するサポート支援についての詳細をご紹介します。
サポート1. 職場復帰・就労支援
統合失調症治療の終わりがけでも、病気発症時のトラウマから復職ができなかったり、就職活動が困難であったりする患者様は多くいらっしゃいます。そのような「職場復帰を目指したい方」を対象として、リワークや就労支援施設などへのご紹介も可能です。無理せず少しずつでも社会に戻る努力をしたいあなたに合わせた施設を見つけられるようにサポートします。
サポート2. 休職や復職に必要な診断書を最短で即日発行!すぐにもらえるから安心
大阪こころの診療所 梅田院では、「もう耐えられなくて、今すぐにでも休職したい……。」「統合失調症を治して早く復職がしたい……。」と考える出来る限り多くの患者様を助けたいとの想いから、休職・復職に必要な診断書を最短で即日発行ですぐにもらえるように努めております。精神科・心療内科には、当日や翌日などの予約を受け付けていなかったり、初診を受け入れていなかったりするクリニックが多数見受けられます。
今すぐに助けが必要にも関わらず、病院に受け入れてもらえない患者様を出来るだけ減らせるように、当院の医師の診察では、迅速で適切な診断を心がけております。
患者様のこころの拠り所となるような治療を実施するべく、心の専門家である公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを実施しております。詳しくは、ご来院した際にお尋ねください。
サポート3. 休業・傷病手当や精神障害者保健福祉手帳などの申請もサポート
統合失調症治療で休職する場合には、生活費について悩む方がたくさんいます。そのような状況で有効な行政の制度として、休業手当や傷病手当、精神障害者福祉手帳を発行することで受けられる支援などが考えられます。休業手当とは、会社の都合で労働者が休業する場合(使用者の責に帰すべき事由)に平均賃金の60%以上が支給される制度のこと。一方、傷病手当とは、業務外の病気やケガで療養中に労働ができず、給与が支給されない場合に休業4日目から標準報酬日額の3分の2が最大1年6ヶ月まで支払われる制度のことです。働けない状況でも生活費に困らないように利用可能な制度だと言えます。
さらに、統合失調症によって社会生活を健康に送れない状態となった場合は、精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)が発行できます。精神障害者が自立した生活を送るための支援を受けやすくすることを目的として発行されるもので、公共料金などの「経済的支援」や生活保護や就労支援を受けられる「福祉サービス」、医療費の自己負担額を減らせる「医療費の助成」といった支援を受けられるメリットがあります。
このような支援制度の申請をするには、病院の診断や通院が必須です。必要書類などはご自身でご用意いただき、精神科・心療内科で対応可能な診断書の発行などを早急にお手伝いします。申請について、詳しくは各自治体にお尋ねください。
統合失調症でよくある質問
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統合失調症の具体的な症状は何ですか?
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統合失調症には、健康な状態では現れない陽性症状と、健康な特性が失われる陰性症状があります。
陽性症状には幻覚や妄想が典型的で、特に他の人には聞こえない声が聞こえる幻聴がよく見られます。
これに対し、陰性症状には意欲の低下や感情表現の減少などがあります。
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統合失調症がひどくなるとどうなりますか?
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統合失調症を放置すると、症状が悪化し、深刻度が増す可能性があります。
また、衝動的な行動や暴力が発生することもあります。
再発を重ねるごとに、以前にできていたことができなくなるとされています。
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統合失調症患者の特徴は何ですか?
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統合失調症は、現実感覚を失う症状(精神病症状)、幻覚(特に幻聴)、妄想(誤った信念)、異常な思考や行動、感情表現の減少、意欲の低下、認知機能の低下、および日常生活(仕事、対人関係、自己管理など)に支障が出る精神障害です。