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ADHD

ADHD

ADHDとは

ADHD(注意欠陥障害・多動症)とは、不注意・多動性・衝動性などの症状を特徴とする発達障害の一つです。
発達障害は生まれつきの特性として、脳の障害によって発症します。偏見としてADHDは「親(母親・父親)の育て方が悪い」と言われることがありますが根拠のない嘘です。
ADHDは子どもの頃から発症しており、大人になって急に発症するものではありません。
しかし、症状が軽い場合や身を置く環境によっては見逃されることもあります。

ADHDは大人になって気付く人も多い病気

ADHDは大人になって気づく人も多い病気です。その原因としては、仕事や結婚などによって人間関係や日々のタスクが複雑化し、対応しきれなくなっていくことが考えられます。こうして、自分の身の回りの作業が難しくなることで困難に直面することで、問題が可視化されていくのです。

参考文献: NHK健康ch

男性・女性や子供など、年齢性別で違いはあるの?

ADHDにおいて、年齢(大人・子ども)や男女の性別では下記のような傾向の違いがあります。

大人のADHD

特徴 多動性はないが精神的な落ち着きのなさや衝動性がある、ずっと座っていられない、衝動的な決定をする
不注意 仕事や家庭における協力しての作業が苦手、スケジュール管理が苦手
生活への影響 仕事のパフォーマンスへの影響、人間関係や日常生活を上手くできないなど

子どものADHD

特徴 多動性が強く、じっとしていられない。
教室内を歩き回ったり、喋り続けたりする
不注意 勉強に集中できない、忘れ物が多い、ケアレスミスが多い
生活への影響 学力がなかなか上がらない、友達との関係に問題が多い

男性のADHD

特徴 多動性や衝動性が強く、子どもの頃から目に見えて症状が分かりやすい
診断・治療開始時期 症状に気づかれやすいため治療開始が早い
顔つき 表情が豊かで活発な印象が強い傾向にある

女性のADHD

特徴 不注意の特性が強く、社会性よりも自己管理や人間関係の構築が苦手、
感情のコントロールが苦手
診断・治療開始時期 症状が内向的で気付かれづらいため、診断が送れ治療が遅くなることが多い。
顔つき 落ち着いた印象の顔つきで表情が乏しい傾向にある

しかし、これらの違いはあくまで傾向であることに注意しましょう。

ADHDとASDの違い

同じ発達障害に分類されるADHDとASD(自閉症スペクトラム)ですが、症状に大きな違いがあります。
ADHDの症状は「多動性」「衝動性」「不注意」などが特徴であるのに対し、ASDの症状は「コミュニケーション能力が乏しい」「興味・関心へのこだわり」「反復行動」などが特徴です。しかし、ADHDとASDは併発する場合も多く、明確な違いの定義を見出すのは困難だと言えます。

ADHDの原因

ADHDなどの発達障害は、生まれつきの特性によって発症します。発達障害の特性が引き起こされる背景には、遺伝による影響も示唆されます。両親(父親・母親)のどちらかがADHDの場合、約50%程度が遺伝するという研究による結果も。しかし、両親がADHDだから必ず発症するわけでも、子どもがADHDだから両親も発症しているわけでもないため確実性は低いと言えます。
次に、ADHDの原因となる発症のメカニズムを説明します。

原因1. 前頭前野の働きに異常がある

ADHDは前頭前野がうまく働かないことで発症すると考えられています。前頭前野とは、作業に専念するための集中力や、計算をするときに一時的に情報を記憶するなどで活用する一時記憶を担っている部位です。脳の前の方にあり、判断や思考、注意力、計画性、会話、心の制御を司ります。その他の動物にはない、人間だけができる行動に関わる組織だと言えるでしょう。
前頭前野には神経回路が備わっており、神経伝達物質と呼ばれる化学物質の働きによって活性化したり、抑制されたりするとも言われています。

原因2. 神経伝達物質の不足

ADHDは、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリンの不足が原因で発症するとも言われています。これらの化学物質は、注意力や衝動制御に大きな役割を果たしており、神経伝達物質が不足することでADHDの特徴的な症状が現れます。
ドーパミンは報酬系(喜びや達成感など)や動機付けに関連する神経伝達物質で、注意力や集中力を維持する働きをします。ADHDの人はドーパミンの量が低い傾向があります。一方ノルアドレナリンは、覚醒や集中力を高める働きがあります。これらの前頭前野に働きかける神経伝達物質の不足が、ADHDの主な原因として考えられています。
神経伝達物質の生成が少なくなる主な原因は、遺伝的要因などの先天的なものだと考えられています。

ADHDの症状・特徴

ADHDは、不注意・多動性・衝動性などの症状を特徴とする病気です。次に各々の特性を示しながら、大人のADHDにおいて、あるあるの症状を紹介します。

症状・特徴1. 不注意型の症状

ADHDの特徴的な症状として、不注意であることが考えられます。集中力する作業が苦手であったり、ケアレスミスが多かったりすると、社会生活において下記のようなあるあるを招く懸念があります。

ADHDの不注意あるある1. 大事な書類を忘れる/失くす

ADHDの特性である不注意から、大事な書類を忘れたり失くしたりすることが懸念されます。余裕を持って事前に用意しておくことで、資料の紛失などを防ぐことができます。

ADHDの不注意あるある2. 遅刻が多い

ADHDの人は不注意から約束の時間を忘れてしまったり、気付かなかったりすることで、遅刻が多い傾向にあります。仕事やプライベートなどで時間がルーズだと信頼を得られないなどの弊害もあり、人との関係性の構築にも影響を与える可能性も。ADHDの遅刻対策として、作業ごとにアラームをかけるなど、こまめに時間を意識する工夫をすることが考えられます。

ADHDの不注意あるある3. 時間の見立てが甘く期限を守れない

ADHDの人は時間の見立てが甘く、タスクの納期が守れないといったことが、あるあるとして考えられます。さらに、優先順位がなかなかつけられず、マルチタスクが苦手であることも一つの要因です。納期を守れるようにする工夫としては、やるべきことを書き出して可視化させ、優先順位をつけるために業務にかかりそうな時間を各々割り振ってみるなど、全体の業務量と比重をしっかりと理解すると良いでしょう。

症状・特徴2. 多動型の症状

ADHDの多動症状は、仕事中でもずっと座っているとムズムズしてきたり、手足を動かしてしまったりする症状です。大人のADHDにおける多動型の症状について、あるあるをご紹介します。

ADHDの多動症状あるある1. 仕事中に貧乏ゆすりが止まらない

DHDの人は長時間の座り仕事に対して、じっとしていられず、無意識に貧乏ゆすりをしてしまうことがあります。貧乏ゆすりでガタガタと音を鳴らし続ける行為は、同僚にも迷惑に思われがちです。
貧乏ゆすりを事前に防ごうと思っても無意識の行動であるため、なかなか気づけません。そのような時は、
・自分で気づいたときに別の何かをして止めてみようとする
・自分が貧乏ゆすりをするタイミングの傾向をつかむ
などを試してみることで、多動症状の改善が期待できます。

ADHDの多動症状あるある2. すぐにものを落とすなど、落ち着きがない

ADHDでは、じっとしていることが苦痛で、背伸びをしてみたり、腕を動かしてみたりと何かと落ち着きがない傾向にあります。例えば、腕などが当たってデスクの上でよく飲み物をこぼしたり、ものを落としたりすると、大事な書類や機械を壊してしまう恐れも。どうしても落ち着けない場合は、定期的にお手洗いに行くなど、席を立つタイミングを設けて身体を動かすと良いでしょう。

ADHDの多動症状あるある3. 人や物事を待てない

ADHDの人はソワソワして、何かをじっと待つ行為が苦手な傾向にあります。お店の行列や人の準備をしているのを待てない、待ち合わせ場所で待っていられずに一人で歩き出してしまうなど、特に私生活での影響が多いと言えます。

症状・特徴3. 衝動型の症状

ADHDの衝動型の症状は、衝動的な欲求が多いことが特徴です。いきなり走りたくなったり、衝動的な買い物をしたりするなど、いきなり思いついて決断する行為が該当します。
次にADHDの衝動型の症状あるあるについてご紹介します。

ADHDの衝動性あるある1. 衝動買いで後悔が多い

ADHDの衝動性は買い物の仕方にも表れます。よく考えずにフィーリングで買い物をしてしまい、いざ買ってみると使わないなど、衝動的な決断で後悔が多い傾向も。衝動買いの根本的な原因には、ストレスの解消や「いつも頑張っているご褒美だ」などといった正当化させる固定観念の働きがあります。考え方として悪いとは限りませんが、お金を使い過ぎてしまったストレスが増え続けるなどの悪循環へ陥る可能性もあります。
このようなADHDによる衝動買いを防ぐには、自分が買い物をしたくなる原因を明確にして別の方法でストレス解消を試してみたり、強制的に買い物を制限できるように人に手伝ってもらったりする方法が効果的でしょう。

ADHDの衝動性あるある2. 豊富なアイデアの中から迅速な決断ができる

ADHDの人は衝動的に決断できるため、迅速な判断が求められる場合には有利だと言えます。さらに、アイデア出しが得意であることも多いため、様々な可能性を考えて選択肢を広げながら迅速な決断ができることもあるでしょう。

ADHDとの向き合い方

ADHDは、集中力の不足や多動、衝動性を伴う神経発達症です。現在ではADHDを根本から治す方法はなく、完治は難しいとされています。しかし、適切な対策を取ることで、日常生活の質を大幅に改善することができます。
まず、自身の特性を理解し、無理にそれを変えようとせずに受け入れることが重要です。ADHDの症状を管理するには、タスクを小分けにして進める、優先順位を付ける、リマインダーやタイマーを効果的に利用することが役立ちます。特に、日常生活や仕事において、ストレスを軽減する環境作りが大切です。
また、家族や友人、職場の同僚に自分の特性をしっかり伝え、理解を得ることも大きな助けになります。周囲の支援を得ながら適切なアプローチを行うことで、ADHDの症状をより良く管理できるようになるでしょう。
専門的なサポートも大いに役立ちます。医師やカウンセラーの指導のもと、薬物療法や行動療法を組み合わせることで、より効果的に症状を管理することができます。ADHDは治療不可能とされていますが、適切な対策を取ることで、充実した生活を送ることが可能です。

ADHDでよくある質問

ADHDでよく見られる行動にはどのようなものがありますか?
ADHDの患者さんに見られる行動には、「落ち着きがない」「衝動的に動き出す」「長時間の集中が難しい」といった特徴があります。
ADHDの方が苦手とすることは何ですか?
ADHDの人が苦手とすることには、「情報の取捨選択」や「集中して物事に取り組むこと」があり、集中しようとしても注意が散漫になりやすく、重要な情報を見落としてミスにつながることがあります。
ADHDの人の話し方や表情には特徴がありますか?
ADHDの人の話し方には、空気を読まない発言や結論のない話、細部への過剰な拘りが見られることがあります。
顔つきの特徴としては肌が白く若く見える、目が離れていることなどがあるとされますが、外見だけでADHDを判断するのは難しく、医師による診断が必要です。
ADHDは完治しませんが、症状を軽減することは可能です。詳しくは、ご予約の上、ご来院時にお問い合わせください。
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