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強迫性障害(OCD)とは
強迫性障害(OCD:Obsessive-Compulsive Disorder)は、意志に反して頭に浮かんでしまう強迫観念(例:不潔感、災害の恐れ)や、それに伴って行わざるを得ない強迫行為(例:過剰な手洗い、確認行為)が特徴の精神疾患です。これらの症状が生活や日常活動に大きな支障をきたすことがあります。
強迫性障害の特徴・症状
強迫性障害の特徴には、以下のようなものが挙げられます。
・強迫観念:不合理とわかっていながらも頭から離れない考えやイメージにとらわれる。
・強迫行為:強迫観念を打ち消すために同じ行動を繰り返してしまう。
こうして、強迫性障害の特徴と言える症状には、恐怖感を覚えるイメージにとらわれることで、儀式的になんども同じ行動を繰り返してしまうなど、意識的に制御できずに重症化すると日常へ支障をきたしてしまうものが多いと言えます。
強迫性障害(OCD)の原因
強迫性障害の明確な原因は特定されていませんが、様々な研究によって「環境要因」「遺伝的要因」「生物学的要因」「生まれながらの気質」「感染症の影響」のようなものが発症に関わっているのではないかと考えられています。
原因1. 環境要因
幼少期のトラウマ、虐待、幼少期に教え込まれた厳格な価値観、感情や行動を強く否定される経験など、様々な環境要因によって引き起こされるストレスによって、強迫性障害の原因になることが懸念されます。さらに、強迫性障害は、ある一つの重大なストレスによるものではなく複数が組み合わさることで、発症する原因となることも。
こうして、幼少期のトラウマや日常的に潜む軽いストレスも、強迫性障害を発症する主な要因となり得るのです。
原因2. 遺伝的要因
強迫性障害は遺伝的な要因が大きいのではないかと示唆されています。しかし、うつ病やパニック障害などに関わるとされる遺伝子が強迫性障害にも関与しているとの研究による結果もある一方、親が発症しているからと必ずしも子どもが発症するとは限りません。
原因3. 生物学的要因
強迫性障害は、セロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質の不足や、脳視床下部や下垂体脳機能と呼ばれる脳の機能障害が関わっている可能性が示唆されています。このような、身体的な働きの変化によって強迫性障害が発症することがあります。
原因4. 生まれながらの気質
強迫性障害は、生まれながらの性格や気質が発症の原因に関与しているとも言われています。神経質で不安を持ちやすい性格の人に多く見られ、ショッキングな出来事や心配事が強迫性障害の引き金となることが多いとも言われます。
原因5. 感染症による影響
強迫性障害は、上気道炎や化膿性皮膚感染症、リウマチなどの原因菌である連鎖球菌感染症への感染が関連しているとも言われています。例えば、強迫性障害患者の中で、連鎖球菌に感染した人の方が異常な自己免疫反応から、強迫症状の出現が早まったとの研究による結果も。連鎖球菌の感染経路には、咳・くしゃみのような風邪症状のようなものから、新生児期においては経膣分娩などの機会にまで、多岐にわたります。
しかし、連鎖球菌感染症の多くは、身体の内外に症状なく存在しているものであり、強迫性障害と関連づける事例数も少ないため、まだまだ研究段階だと言えます。
20歳未満の方へ強迫性障害(OCD)の治療法
強迫性障害の症状が軽いうちは、ストレス源を特定して距離を置くことで改善されることがあります。一方、重症化してしまった場合には薬物療法やカウンセリングなど、症状や状態に合わせた治療計画を練ることが大切です。
大阪こころの診療所 梅田院では、「副作用のない安全な治療がしたい……。」などの患者様のご希望に合わせた治療法がご提案できるよう、様々な社会性不安障害の治療法を取り入れております。次に、強迫性障害の治療法について詳細に説明します。
はじめに、十分な休養が一番大切です
強迫性障害を治すためには、前提として十分な休養がとても大切です。強迫性障害の発症の元となったストレス源から距離を置き、しっかりと休養を取ることで、心と身体をリフレッシュさせながらストレス耐性を高めることができます。ストレス耐性を改善できれば、強迫性障害の症状を改善しながら再発防止も期待できるのです。
治療法1. 薬物治療
強迫性障害の治療薬には、以下のようなものが挙げられます。
抗うつ薬
効果 | 抑うつ症状を改善させる働き |
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具体例 | 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など |
抗不安薬
効果 | 不安や緊張を迅速に和らげるために使用されます。即効性があるため、大きな不安や恐怖を感じたときに有効である。 |
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具体例 | ベンソジアゼピン系、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)など |
第二世代抗精神病薬(非定型抗精神病薬)
効果 | ドーパミンD2受容体およびセロトニン5-HT2A受容体をブロックすることで、精神病症状の改善 |
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具体例 | リスペリドン(リスパダール)、オランザピン(ジプレキサ)、クエチアピン(セロクエル)、アリピプラゾール(エビリファイ)など |
強迫性障害で現れる症状は個人差があるからこそ、心療内科・精神科の専門医の指導のもと症状や状態を見極めて適切に治療薬を処方される必要があるのです。治療計画を考える際には、薬物治療とその他の治療法を併せて利用することで、強迫性障害の症状改善における相乗効果が期待できます。
治療法2. 精神療法
大阪こころの診療所 梅田院における強迫性障害の精神療法は、公認心理師や臨床心理士などの心のプロフェッショナルによるカウンセリングを通して行われます。次に詳細に説明します。
公認心理師・臨床心理士によるカウンセリング|認知行動療法
強迫性障害治療としての認知行動療法は、人々の思考や行動が感情や心理的な問題にどのように関連しているかを把握し、強迫性障害につながる考え方の癖を改善する治療法です。
強迫性障害に悩んでいる人は、否定的な思考や行動傾向を持ちがちです。例えば、自己否定的な考え方、無力感、希望の喪失などの癖をポジティブな捉え方に変化させることによって、不安症状の原因となる後ろ向きな思考の連鎖から抜け出すことを目指します。自分の考え方を変えるには、まず自分を理解し受け入れることが大切です。「今ここにある自分」を意識して現実を受け入れながら、感情に左右されない心を養うマインドフルネスの考え方を取り入れることで、強迫性障害の再発を防ぐのに効果的です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施する認知行動療法は、公認心理師や臨床心理士といった専門家によるカウンセリングを通して実施します。ご希望の方は、来院した際にスタッフへお声がけください。
治療法3. 【自由診療】TMS治療(磁気刺激治療)
TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療は、アメリカやヨーロッパ諸国では代表的なうつ病治療手段の一つで、近年では様々な精神疾患の症状改善が期待できるとして注目を集めています。TMS治療では、磁気刺激を使って脳の神経回路を刺激することで、不安症状の改善を目指します。TMS治療では頭皮を通じて磁気パルスを発生させる装置を使用することで、脳の特定の領域に刺激を与え、脳の神経活動を正常化させます。うつ症状に作用する神経伝達物質の生成を整えることで、症状の緩和を目指します。
TMS治療では、週に数回程度の施術を実施し、数週間から数か月にわたって継続していきます。治療は一回あたり約15分〜30分で終了するため、通院による治療も手軽に行いやすいのがメリットだと言えるでしょう。
さらに、TMS治療は、薬物治療で効果が出なかったり、薬物療法を避けたい/減らしたいと考えたりする方に合っていると言えます。うつ病や他の精神疾患の治療において、TMSは代替的な手段として検討の対象となることがあります。TMS治療は専門医の指導を受けて実施されるべきであり、効果や安全性は個人によって異なることがあります。治療の適応や詳細については、医師や専門家との相談が大事です。
大阪こころの診療所 梅田院で実施するTMS治療は自由診療です。自由診療のメリットは気軽に日帰りで治療を受けられること。保険診療のTMS治療を受けたい場合は厳しい審査基準(十分な薬物治療で効果がなかった、長期間で自殺念慮がある、6週間以内に30回の治療ができる、大学病院などの大きな医療機関に通えるなど)をクリアした上で、約2ヶ月〜3ヶ月間の入院治療を行います。すなわち、自殺願望が引き起こされるほどに重症化したうつ病患者しか、TMS治療は保険適用されないのです。
「強迫性障害が重症化する前に早く治したい」「仕事に早く復帰して安心したい」とお考えの方は、自由診療でのTMS治療をおすすめします。
20歳未満の方へ強迫性障害セルフチェック
- 入浴や手洗い、トイレなど、日常的な行為に儀式的なルールを作っている
- 自分のせいで周囲を傷つけてしまうのではと不安になる
- 最悪の状況を想像し、脳裏から離れなくなる
- 無意識に大切な人やものを失ったり、捨ててしまったりするのではないかと怖くなる
- 汚れやばい菌、ネバネバしたものが過剰に苦手だ
- 行動範囲を決めて、外出を控えている
- 自分のみならず、家族にも持ち物の清潔さなどを強要する
これらの症状が2つ以上該当する場合、2週間以上毎日のように続いていたり、日常生活に支障があったりする場合には、強迫性障害の可能性があります。強迫性障害かもしれないと感じた場合には、早期発見・治療のためにも迅速に医療機関へ相談することをおすすめします。
医療機関を受診することで、強迫性障害の診断が正式に確定します。精神疾患の診断に対して不安や否定的な印象を抱く方もいますが、病院で強迫性障害の診断を受けることにはしっかりとしたメリットがあります。
病院で強迫性障害の診断を受けるメリット
医療機関で強迫性障害の診断を受けた場合、適切な治療計画を練ることで早期改善が期待できると共に、健康状態に合わせた行政や地方自治体などの公的機関によるサポートを受けられることがあります。例えば、病院へ行かず自己判断で仕事を休み始めてしまった場合、休業手当や病床手当を申請しても診断を受けた日からしか支給されず、休んだ日数分の満額を受け取ることはできません。
さらに、強迫性障害の診断書を用いて精神障害者保健福祉手帳を発行すると、就労支援や医療費控除を受けられます。
このように病院で統合失調症の診断を受けることで、様々な行政的サポートを受けられるようになります。
強迫性障害の症状を伴う精神疾患のサポート支援
大阪こころの診療所 梅田院では、強迫性障害の症状を伴う精神疾患のサポート支援として社会復帰の先駆けとして有効なリワークへの紹介状や、行政のサポートを受けるために有効な診断書を発行しています。このような、精神病に対するサポート支援についての詳細をご紹介します。
サポート1. 職場復帰・就労支援
強迫性障害などの精神疾患治療の終わりがけでも、病気発症時のトラウマから復職ができなかったり、就職活動が困難であったりする患者様は多くいらっしゃいます。そのような「職場復帰を目指したい方」を対象として、リワークや就労支援施設などへのご紹介も可能です。無理せず少しずつでも社会に戻る努力をしたいあなたに合わせた施設を見つけられるようにサポートします。
サポート2. 休職や復職に必要な診断書を最短で即日発行!すぐにもらえるから安心
大阪こころの診療所 梅田院では、「もう耐えられなくて、今すぐにでも休職したい……。」「強迫性障害を治して早く復職がしたい……。」と考える出来る限り多くの患者様を助けたいとの想いから、休職・復職に必要な診断書を最短で即日発行ですぐにもらえるように努めております。精神科・心療内科には、当日や翌日などの予約を受け付けていなかったり、初診を受け入れていなかったりするクリニックが多数見受けられます。
今すぐに助けが必要にも関わらず、病院に受け入れてもらえない患者様を出来るだけ減らせるように、当院の医師の診察では、迅速で適切な診断を心がけております。
患者様のこころの拠り所となるような治療を実施するべく、心の専門家である公認心理師・臨床心理士によるカウンセリングを実施しております。詳しくは、ご来院した際にお尋ねください。
サポート3. 休業・傷病手当や精神障害者保健福祉手帳などの申請もサポート
強迫性障害の症状を伴う精神疾患で休職する場合には、生活費について悩む方がたくさんいます。そのような状況で有効な行政の制度として、休業手当や傷病手当、精神障害者福祉手帳を発行することで受けられる支援などが考えられます。休業手当とは、会社の都合で労働者が休業する場合(使用者の責に帰すべき事由)に平均賃金の60%以上が支給される制度のこと。一方、傷病手当とは、業務外の病気やケガで療養中に労働ができず、給与が支給されない場合に休業4日目から標準報酬日額の3分の2が最大1年6ヶ月まで支払われる制度のことです。働けない状況でも生活費に困らないように利用可能な制度だと言えます。
さらに、強迫性障害の症状を伴う精神疾患によって社会生活を健康に送れない状態となった場合は、精神障害者保健福祉手帳(精神障害者手帳)が発行できるケースがあります。精神障害者が自立した生活を送るための支援を受けやすくすることを目的として発行されるもので、公共料金などの「経済的支援」や生活保護や就労支援を受けられる「福祉サービス」、医療費の自己負担額を減らせる「医療費の助成」といった支援を受けられるメリットも。
このような強迫性障害の症状を伴う精神疾患に対する支援制度の申請をするには、病院の診断や通院が必須です。必要書類などはご自身でご用意いただき、精神科・心療内科で対応可能な診断書の発行などを早急にお手伝いします。申請について、詳しくは各自治体にお尋ねください。
強迫性障害でよくある質問
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強迫性障害(OCD)は何が原因で発症しますか?
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強迫性障害(OCD)の発症には、生物学的要因と環境的要因の両方が関与しています。生物学的要因として、脳内の神経伝達物質のバランスや機能の異常が挙げられます。また、遺伝的要因や栄養バランスの乱れも関与しており、特に幼少期に発症する場合やチック症の症状が見られる場合は遺伝性の可能性が高いとされています。しかし、強迫性障害の親を持つ子どもが必ずしも発症するわけではなく、環境的要因も重要です。生物学的要因と環境的要因が組み合わさることで、強迫性障害を発症するリスクが高まると考えられます。
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強迫性障害(OCD)は治癒しますか?
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強迫性障害(OCD)はすぐには治りません。治療法は個々の症状や状態によって異なるため、専門医の診断が重要です。自分のペースで適切な治療を続けることで、症状の緩和や改善が期待されます。治療法について詳しく知りたい方は、ご予約の上、来院時にご相談ください。
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強迫性障害(OCD)の治療は保険適用ですか?
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強迫性障害(OCD)の治療は保険が適用されることがあります。しかし、病気の原因や症状によっては、保険が適用されない自由診療が適している場合もあります。そのため、専門医の診断と治療計画が大切です。自分に適した治療法について詳しく知りたい方は、ご予約の上、来院時にご相談ください。